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平安貴族も魅了した「和歌の聖地 和歌の浦」誕生 1300年を盛り上げる!前年度に募集し厳選した短歌55首を一挙公開!!

ご覧いただきありがとうございます。
和歌山市広報広聴課です。

神亀元年(724年)、万葉の歌聖・山部赤人が

「わかの浦に 潮満ちくれば 潟をなみ 芦辺をさして 鶴鳴きわたる」
(意訳)和歌の浦に潮が満ちると、干潟が無くなるので、葦辺を目指して、鶴が鳴きながら飛んでゆくよ

と詠み、令和6年(2024年)は1300年の節目の年です。

以降、和歌の浦は和歌の聖地となりました。
玉津島神社には和歌の神が祀られて、歌人の憧れの地となり、多くの和歌に詠われています。

万葉の時代からその風光明媚な風景で人々を魅了するこの地域は、藤原公任や藤原頼道といった平安貴族も訪れ、平成29年度には「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産に認定されました。

令和6年、和歌の浦 誕生 1300年を記念した行事を地域のみなさまはじめ、市民とともに盛り上げてまいります。

その前哨戦的に、前年度、短歌ワークショップを行い、「和歌の浦」や「海の思い出」をテーマに、短歌を募集しました。

今回の投稿ではご応募いただいた短歌のなかから50首程度を選定!
令和6年1月21日(日)に実施した「短歌ワークショップ」会場内に展示した作品を一挙公開!
さらに、「短歌ワークショップ」内で、歌人の田中ましろ氏(短歌×写真のフリーペーパー『うたらば』発刊 他)からの講評も掲載させていただきます。


「短歌ワークショップ」に展示した短歌

「短歌ワークショップ」で応募いただいた短歌を掲出したパネル
  1. タタタタタ笑い追いかけ逃げる娘よ3回目には波につかまる(イマミツ)

  2. 番所の庭より見ゆる双子島仲良く並び夕日に染まる(上野壽子)

  3. 内海に向かうベンチに日向ぼこせむかと誘う回覧板来(木下のりみ)

  4. 沈みゆく夕陽も海の向こうでは光を放ち誰かを照らす(くらたか湖春)

  5. 和歌の浦力士と思っていてごめん君の故郷はこんなにも青(クルーズ・トム)

  6. 海上につぎつぎひらく大花火 病室の窓に独り見し夏(下村由美子)

  7. 和歌の浦橋が架かりしこの景色昔の人は夢にも思わん(しん)

  8. 若の浦に老いずの橋とはめでたけれ その名にし負わば永久ならましを(トム)

  9. 珊瑚礁泳ぎ達者な夫の背に乗ったその日は乙姫だった(のぶこ)

  10. 浮袋穴が開いてて沈んでく九歳なのに死んじゃうのかな(ぱせり)

  11. お手頃な麦わら帽子手に入れて行く適温の海がないのよ(やーくん)

  12. 宝でも見つけたように山頂で君が指さす遠い水色(阿部裕啓)

  13. 眼裏に映る母郷の浦曲には遠富士を背に海苔ひびの舟(安田蝸牛)

  14. 波が足の周りの砂を削っても私は前に進めずにいる(臼井慶子)

  15. 和歌の浦なぎさを往けば波に連れ勿来の濱に至るものらし(岡崎佐紅)

  16. 少しだけ海のにおいがするようで捨てないでおく異国の切符(夏山栞)

  17. サンダルを奉納したと母ちゃんが波を拝んでみなを笑わす(海の神さまへご挨拶)

  18. 繋がらぬかわりに海に手を浸しあなたはそちらで元気ですか(外山雪)

  19. ひとつとて同じ波などないのだと窓辺に立ちし病床の父(岩中幹夫)

  20. ゆっくりとバスが左折し紙芝居みたいにゆっくり海がはじまる(吉田冬扇)

  21. 凪いでいる海を愛するあの人がふと遠い目で我を見ている(宮田恵里)

  22. 波音は母の寝息に少し似て枕近くに置いておきたし(月夜ぼたん)

  23. ずっと待っていてくれたような海だった浅瀬は鏡のようにしずかで(桜庭紀子)

  24. 干潮の海へ蛤とりに行く大人は道具を肩にかつぎて(三浦ユリコ)

  25. 吐き出すや海を目指したあの息はきっと私の情熱だった(山下ワードレス)

  26. 言の葉の揺れるさまこそ波打ちの浦にただよふ小舟なれけり(春風)

  27. 和歌山の枕詞のうつくしき語彙もて詠へあさもよし紀伊(女郎花)

  28. 「お酒さえ飲まなきゃいい人だったね」と言われた友よ故郷の海だ(小島富美子)

  29. 曖昧な意志の疎通はとことはに男と女をへだつ海峡(松田 早苗)

  30. 三景の橋立にすら比肩する片男波てふ砂嘴の和歌浦(松田素風)

  31. ポケットに貝の片方片割れをさっきそこでとあなたに渡す(植田仁那)

  32. 和歌の浦なみの底にはいにしえの書庫ありうたは水面にひらく(新村衣里子)

  33. もう会へぬひと会はぬひときれぎれに語りかけくる海鳴りの夜(真柴みこと〜mitoshi〜)

  34. 祈祷寺の五百羅漢のその一人ややにうつむき視線合わさず(瀬戸内 光)

  35. 砂浜にあしが触れるか触れないかくらいのとこで君が手を振る(瀬崎薄明)

  36. 和歌の浦の夕陽に涙流すときわたしも海の欠片とおもう(青糸りよ)

  37. 紀三井寺の石段やっと登りきり振りむけば海、青く光って(船田愛子)

  38. 思い出は海の幸こそ和歌の浦朝に夕べに梅の香うれし(大杉ロン)

  39. かほばなの咲く浜影に吾ひとり君の便りの絶えて久しき(中原 美智子)

  40. 冗談を言うとき眩しそうに目を細める君が揺らす海域(中村 圭亮)

  41. トンネルを抜けると海が見えてきて「もうすぐ着く」とメールを送る(中村マコト)

  42. ロープウェイ消えたる丘へ駆け来れば赤人詠みし鶴の飛ぶ見ゆ(中島走吟)

  43. 渚にて波追う少女を姉と呼び幼子は追う和歌の浦にて(坪庭知也)

  44. けんかして仲直りして波はただ足を優しく濯いでくれた(杜野詩季)

  45. 和歌浦に海無し県より嫁ぎきぬ 万葉人と同じときめき(二階堂ねこ@和歌山ライター)

  46. 遊泳はできない海で足だけが輝く夏を実感してる(二枝紗莉惟)

  47. 不老橋のたもとに群れる冬かもめ真白き胸に夢ふくらませ(畑節子)

  48. 思い出は光打ち寄す砂浜の波の引き去るきわの足跡(苗村青鷺)

  49. 着崩したリネンのシャツの隙間からあの日の海が見えた気がした(友常甘酢)

  50. きれいなはうの記憶の棚にしまひこむ海の匂ひのするサンダルを(有村桔梗)

  51. よせかえす波をただただ眺め居てプチプチ家出終えて帰らむ(廣崎 恵子)

  52. 砂の上気づかず掴んだ子クラゲは海をかためたものだったんだ(琥珀)

  53. すこし前きれいな石を見つけたよ 海にもらった大切な石(竹ながき一)

  54. 和歌浦の自然とともに暮らす日々 喜怒哀楽の響きが走る(奥野 瑛久)

  55. かにがいたリュックの下に かたほうのはさみが大きい よこにはしった(あっちゃん)

田中ましろ氏に講評いただいた短歌

イベントに登壇いただいた田中ましろ氏
  1. 祈祷寺の五百羅漢のその一人ややにうつむき視線合わさず(瀬戸内 光)

  2. 砂浜にあしが触れるか触れないかくらいのとこで君が手を振る(瀬崎 薄明)

  3. 思い出は光打ち寄す砂浜の波の引き去るきわの足跡(苗村 青鷺)

  4. 繋がらぬかわりに海に手を浸しあなたはそちらで元気ですか(外山 雪)

  5. 浮袋穴が開いてて沈んでく九歳なのに死んじゃうのかな(ぱせり)

  6. かにがいたリュックの下にかたほうのはさみが大きいよこにはしった(あっちゃん)

  7. かほばなの咲く浜影に吾ひとり君の便りの絶えて久しき(中原 美智子)

  8. 吐き出すや海を目指したあの息はきっと私の情熱だった(山下ワードレス)

  9. 凪いでいる海を愛するあの人がふと遠い目で我を見ている(宮田 恵里)

  10. 和歌山の枕詞のうつくしき語彙もて詠へあさもよし紀伊(女郎花)

  11. 和歌の浦力士と思っていてごめん君の故郷はこんなにも青(クルーズ・トム)

  12. サンダルを奉納したと母ちゃんが波を拝んでみなを笑わす(海の神さまへご挨拶)

  13. きれいなはうの記憶の棚にしまひこむ海の匂ひのするサンダルを(有村 桔梗)

全国から約500首の短歌をご応募いただきました。
ありがとうございました。


「短歌ワークショップ」では、10代~80代の幅広い年代の方に参加いただき、講演会、応募短歌の講評、短歌カードゲーム等を楽しんでいただきました。

イベントで「短歌カードゲーム」を楽しむ様子

なべとびすこ氏が作製された「短歌カードゲーム」はワークショップイベント後も、楠見小学校での和歌山市職員出前講座でも活用し、子どもたちにも楽しく短歌に親しんでいただきました。

「短歌カードゲーム」を楽しむ楠見小学校の3・4年生

和歌の聖地・和歌の浦 誕生 1300年。
本番の今年は、和歌の聖地 和歌の浦を知っていただく!
お越しいただき、参加いただけるイベントを企画中です。
公表できる日を楽しみにお待ちください!

「短歌ワークショップ」に関する問合先
和歌山市産業交流局文化スポーツ部文化振興課
〒640-8511和歌山市七番丁23番地
TEL: 073-435-1194 FAX: 073-435-1294

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